BucciのチームでCS虎の巻 IGL編

ゲームプレイ

t f B! P L

 日本カウンターストライクシーンにて活動しているbucci氏に寄稿して頂き、SamuraiCSにて公開していくことになりました。今後も継続して行っていきますのでお楽しみに。


BucciのチームでCS虎の巻 IGL編



※以下しばらくCSGOとは関係無い話が続くので読まなくてもいいです。

 小学校の休み時間、何してました?
自分のクラスの話になりますが、教室に少し大きめのボールが二つあり、主にそれを使ってドッヂボールや中当てをやってました。

チャイムが鳴った瞬間、みんなで一斉にボールに向かってダッシュしていたのをよく覚えてます。

ボールの入ったカゴは教室の後ろ中央あたりに置いてあり、一番後ろ真ん中二人の席がちょうど同じくらいの近さで、エントリーのような役割を果たしていました。

しかしここで一つトラブルの原因が

この二つのボールのうち片方は、バレーボールサイズで小学生には少し大きくて、遊びづらく不人気でした。

なのでこの後ろの席の人間と違うグループで遊んでいる人間はどうしても不人気な方のボールで遊ばざるをえず、憎らし気に人気の方のボールを確保した奴らを睨んでました。

それでも小学生にボールがあるのに遊ばないという選択肢は無いんでこのバレーボール大のボールでどう遊ぶかについて考えていました。

 

 ”席が近い奴を給食で買収するか......?_"

 ”いや、キックベースならちょうどいいかもしれん”

 ”でも他の奴らは皆中当てをしたがっている......"

 ”どれがベストの選択だ......?"

 
 そう、これこそが私のIGLとしての第一歩だったのです......

と、いうわけではじめてのひとは初めまして。

知ってる人はこんばんは。

自分はHoneyCombSCUPというコミュニティ大会を運営しております Bucci(ブッチ)です 経歴とかは特に特筆することはないので省略させていただきます。


 さて、チームでこれからカウンターストライクを始める方のために色々と解説していこうと思っています。
 今回はその第1回として、IGLについて簡単に解説していこうと思います。

 堅苦しい文章だと読みづらいかもなんでこっからはくだけた文章でいきます。


1.そもそもIGLって?

 

 IGLとは(In Game Leader)の略で、試合中のチームの方向性を決定するその名の通りチームのリーダーを担うポジション
 IGLに求められるスキルは、プロシーンにおいては

・的確な判断力

・味方の情報を整理する能力

・味方に素早くコールしながらプレイするマルチタスク能力

がプロ水準のAIM,知識、立ち回りにプラスアルファして求められるクソほどしんどい役
 だけど、チーム作りたて、IGLになろうと思いたて、の人間がこれら全てを一度にこなそうとするとめっちゃシンドいんでこの記事ではその助けに少しでもなるようにIGL初心者に向けて書いていこうと思います

 

2.コールって?



 報告や提案など声を出すことをまとめてコールといいます
 よく勘違いしていたり、実践できていない人が多いけど、IGL以外の人間もこのコールはガンガンやっていこう

 メンバーに何か言われたらIGLしか喋んないチームなんて存在しないって返せばOK

 さて、出来立てのチームだったり、なりたてほやほやIGLの人は

・エコかバイか

・マクロのコール(マクロ=戦略 最終的な目的)

 この二つにまず集中しよう

 他のチームメンバーは、IGLが出したマクロのコールに合わせて、じゃあそのプランを実行するにはどのエリアを取ればいいのかどこに投げ物を使うのか、ということを返事して少しでもIGLを楽にするように

 これをサボるとIGLは結構イラつきます

(いちいち投げ物何が必要か確認しねえと分かんねえのか?????? お前は試合中何を考えて生きている????)
 とか思っちゃいます

 俺は思ったし口に出して味方を何度も不機嫌にさせました

 最初はVCがごちゃごちゃしたり、どこか必要な要素が欠けてしまってミスにつながったりもするけど、だからといってIGLにエリア取りやそれに必要な投げ物まで一つ一つ指示させるのはIGLの負担がエグいし、何より他のメンバーがなんも学ばないので、作戦やプラン、敵の動きに合わせてどのエリアを取るのか、どんな投げ物が必要なのか、いちいちIGLに確認されなくても全員が理解して実行できることが理想なんでそれを目指すこと

 ちなみにこれを意識すると、大抵はAIMに集中できなくて負けまくります
 新しいことをやろうとすると今までできていたものも忘れてしまうのはチームの成長の過程では必ず起こるんで、まぁ我慢しましょ

 

3.試合前に決めておくこと

 




 チームでやるCSGOと、パーティやフレンド、野良と一緒にやるCSGOとの一番の違いは

”試合が始まる前に様々な決めごとをして準備ができること”

 これ

 なんならこれしかない

 この章の内容はIGLというよりはコーチの役割になるけど、現在日本ではコーチ専任でプレイしている人が少ないし、大抵はIGLがコーチの役割を果たしていることも多いんで今回のIGL編で一緒に解説しちゃいます

 

 さて、出来立てチームでとりあえず最初に決めておくことをざっくり並べると

 

・エコの基準

・デフォルト(相手の出方に合わせて取るエリアを決める受けの形)

・ラッシュ(buyでもラッシュをしてみよう 楽だよ)

・ファーストラウンドの作戦(TR、CT両方)

・セットの時に投げる投げもの(足りないときもあるんで優先度も決めておくこと)

 

の5つをとりあえずで決めておけばOK

 

 その作戦の良し悪しは置いておいて、まず何かを決めて、それを全員が同じビジョンを共有して、理解して実行することが一番大事

 

 特にセットの時に投げる投げ物の共有は重要で

 なんでかっていうと自分がエントリーの時にどこにいる敵がフラッシュを食らうのかをイメージできるから

 

 同じビジョンの共有は、エリアを取ってからのセットアップまでの時間の短縮にもつながるし、メリットしか存在しない

 深い連携を築く大切な一歩なんで、チームを組んだら最優先で取り組もうね!

 

4.試合中のコール

 


 さて試合前の準備、そしてIGLが出すべきコールについて理解したところで、今度は実際の試合中に気を付けることについて

 

 IGLはチームの最終目的、試合を通じたプランニングが必要な重要なポジションであり、そして味方はそのコールを信じて実行する

 コール通りの動きをしなかったら注意すること

 というかIGL以外はIGLに従っておけば、負けてもIGLのせいにできるからその方がメンタル的にも楽

 じゃあ実際どんなコールを出してはいけないんよ?
 という訳で簡単に解説

 よく反省会などでIGLのコールについての話になると、ほとんどの人が「そのコールは合ってたのか? 本当にA(B)に行くべきだったのか?」という戦略的ばかりになりがち

 もちろん、その話も重要だけど、IGLのコールのミスが起きるのはもっと前の段階の ・エリアを取る時のコール にあることがほとんどなので、まずはここを見直そう


 間違ったコールのよくある例として (inferno)
「T字を取ろう」
 これは良くない

 このコールを出すと、それだけで負けることもある
 何が足りないのか?

 それはエリアを取った後、”何をするのか伝えていない”

 これに尽きる

 何をそんな当たり前のことを......と思うかもだけど、今まで見てきた中ではほとんどのIGLの人がこの間違ったコールを出してたんで、慣れてないとこういう雑なコールを出しがちなんすねぇ

 そしてほとんどのIGLはこんな感じのことを思っています

(T字取ったら普通Aセットだろ! 事前にもそう決めたじゃん) 
 でもそれって一番全体の動きを把握して、決めたことも分かっているIGLが分かっているだけで、コールを聞いた側はT字というエリアを取るところまでしかコールされていないから勝手に動いていいのか?って判断に絶対迷っちゃう

 

 なんでかってそれはエリアに入ったプレイヤーには選択肢がモリモリになってるからで

 ちょっとここでT字を無事取ることができたプレイヤーの視点で考えてみるとよくわかるんだけど

 

(T字取ったし、前に決めてた通りAセットの準備すればいいのかな?)
(T字取れたけど、バナナ全然情報ないしバナナ一回行くよな?)
(T字取ったけど、相手モロトフ残ってるし、違う攻め方かな?)
(勝手にピークして死んだらIGLが怒るよな...)

 パッと言えるものだけでこれだけ選択肢がモリモリ

 しかもエリアによってはいつ敵から取返しが来るか分からんから

(誰か早く次の動きをコールしてくれ~~~!)状態
 しかも考え事ばかりしてたらAIMに集中できんくて敵の動きにも対応が遅れてしまって、せっかくエリア取れたのにフリーキル取られちゃった......って状況を結構見ます

 せっかくエリア取れたのに、こういう形で崩れちゃうって状況はコールに一言足すだけでOK

 

「T字取ったら、Aセットしようね」

 

 これだけ

 エリアを取った後、何をするのか、何がしたいのか、何を狙ってるのか、絶対一言足してあげよう

 

 さっき話したイメージの共有にもつながるけど、IGLの大きな役目の一つに、味方にAIMに集中させるというのもあって

 マクロ的な考えをIGLが担うことで味方はリソースをAIMや投げ物に割くことができるし、イージーミスを減らすことにもつながるのでいいことづくめ

 

 常にIGLはコールを貰う側のことも考えてやれるように頑張ろう

 すごいストレスたまるけど我慢我慢

 慣れてきたら投げ物の残りの数や、フラッシュの数の管理など、細かいサポートもできるようになると更にグッド!

 

5.IGLのスタイル色々

 


 さてここまではIGLの基礎の基礎についての解説

 ここまでの内容が出来るようになったら駆け出しIGLは卒業し、いよいよ本格的なIGLとしてスタイルを確立するタイミングで、IGLの様々なスタイルの中から自分のやりやすいスタイルや、チームカラーに合わせて選んでいこう

 

 IGLのスタイルは大まかに分けると

 

・エントリー型IGL

・ラーク型IGL

・マクロ専念型IGL

・AWPer兼IGL

 の4つ

 

[エントリー型IGL] karrigan Hooxi等

G2Esports IGL Hooxi

FaZe Clan IGL karrigan

 最もチームに献身的で、最も本人のメンタルの強さを必要とするスタイル

 エントリーの名前が示す通り、マクロの目的に合わせたエリア取りの際に、自らエントリーして入っていくのが役割

 

・良い所

 エリア取りのタイミングをIGL自身の一番やりたいタイミングでやりやすい

 損な役回りを自ら引き受けることで、味方の試合中のモチベーションの低下を防げる

 最初にデスすることで、エリア取りに失敗した時のマクロのコールの修正がしやすい

 

・難しい所

 少人数戦になった時のショットコーラー(瞬間的にIGLをやる人)が出来るプレイヤーが必要

 IGLのフラグはかなり悪くなる

 IGLがいない状態でセットをすることが多くなるので、セットの投げ物の共有がますます重要になる

 

 チームにAIMが強かったり、クラッチが得意なプレイヤーがいて、投げ物の共有やセットの練習がしっかりできている場合にオススメのスタイル

 特にエリア取りのタイミングはIGLにとって悩みの種になりがちな問題なので、とにかくセットをサイトにぶつける経験がしたい時もこのスタイルでやってみると吉

 IGLはTRの時最悪キルとれなくても仕事してるんでフラグ気にしないプレイヤーなら割とメンタルも楽かも

 

[ラーク型IGL] Aleksib blameF等

Astralis blameF


Ninjas in Pyjamas IGL Aleksib

 

 ラウンドの最初から最後までをIGLがコントロールするスタイル

 基本的には他のプレイヤーにエリア取りをさせたりアグロ(引き付け役のこと)を取らせ、自分自身が情報を集め、マクロのコールを逐一修正しながら出していくことが多い

 

・良い所

 IGLが最後のセットまで残ることが多く、練習した形をキッチリ決めやすい

 ラーカーが取った情報をIGLに伝え、それを基にコールを出す、という手順が省略されて、状況に合わせた柔軟なプレイができる

 

・難しい所

 エリア取りをIGL以外の人間がやるので、IGLが理想とするタイミングで取れない時がある

 IGL自身に求められる仕事量が多い

 投げ物の残りの数の管理がシビアになりがち

 

 IGLがチームで一番状況判断に優れ、クラッチも得意で、キャリーすることが多いチームではおススメのスタイル

 エリア取りを味方に任せることでレーダーと報告に集中できるので細かい指示やマクロのコールを修正できるんでミッドラウンド(ラウンドの中盤)から先の時間に強い

 その代わりIGLに求められることも増えるのでプレッシャーは更にかかりますが、よくある一番上手い人がIGLを務めるという新造チームなら一番おさまりが良いんで昔はこのスタイルが多かったような......

 

[マクロ専念型IGL] nexa Zeus(Navi) gla1ve等

NatusVincere IGL zeus(現在無所属)


OG Esports IGL nexa

Astralis IGL gla1ve

 出すコールはマクロだけ エリア取りのタイミングも、ファーストキルのトライも全て他のプレイヤーがマクロのコールに合わせた最善の手にトライする最も自由度の高いスタイル

・良い所

 ある意味5人全員がショットコーラーになるような形なので、早い攻めに適しており、相手にも読まれづらい

 プレイヤーそれぞれの得意なやり方で戦えるのでメンタルホスピタリティ的に良い

 IGLの負担が最も軽い

 

・難しい所

 メンバー5人全員がマクロへの高い理解度を求められる

 コールにまとまりが無くなるので、一人一人が報告をちゃんとできないといけない

 共有する投げ物やMAPごとのtips(小技)の数が増える

 

 IGLも含めた5人全員のマクロ理解度や知識が同じくらいのチームにおススメのスタイル

 IGLはラウンドの最初やエリア取りで戦闘が起きた時のマクロのコールに集中し、エリア取りやセットのタイミング等のコールを出すのは基本的には一番敵に近いプレイヤーか、一番情報を持ったプレイヤーであるようにするのがベスト

 早い攻めやラッシュを多用したアグレッシブな動きを目指す場合はこのスタイルでやると上手く行くことが多く、全員の理解度が上がっていけば上がっていくほど他の作戦の成功率もドンドン上がっていくんで、理解度の劣るチームに大して取りこぼしが無くなるスタイルでもある
 余談だけど、チーム全員が高い理解度を持っているチームに最適な形なだけあって、世界一を取ったチームは割とこのスタイルなことが多い

 

[AWPer兼IGL] Fallen jame cadian等


 チームのエースであることも多いAWPerをIGLが兼任する特殊なスタイル

virtus pro IGL jame

Heroic IGL cadiaN

Imperial Esports IGL FalleN

 IGLとしてのスキルに加え、AWPerのスキルも必要になるんで結構レア

 

・良い所

 IGLがイメージするAWPerに求める動きができる

 5v4からの作戦や動きを決めやすいので、ファーストキルを活かしやすい

 エントリーに近い動きになることもあり、死んでしまったらエントリー型IGLとしてのやり方にスイッチできる

 

・難しい所

 重ねて言うけど、IGLのスキル+AWPerのスキルも求められる

 レーダーを見れる時間が減るので、マクロのコールの修正が難しく、ショットコーラーに頼ることがある

 AWPを持てないラウンドの動きも決めておく必要がある(大抵エントリー型のIGLになるので、エントリー型のIGLのスキルも求められる)

 

 IGLとAWPerという替えのきかないポジションをまさかの兼任

 求められるスキルはとんでもない量になるけど、これを兼ね備えたプレイヤーがいればおススメのスタイル

 AWPerとして動き、死んだらそのままエントリー型のIGLのようにその後の細かいマクロのコールを出していくこともできるお得なスタイル

 AWPというマネー的にも作戦においても重要なポジションをIGLが担うことで5v4の有利な状況を活かしやすいんでラウンドの計算がしやすいのが良い所

 難しい所はエントリー型のIGLと同じで、エントリー型のIGLに比べてAWPという武器の強さを生かしたファーストキルの成功率の上昇をどう勝ちにつなげるかのイメージができていればとても強いIGLのスタイルになる

 

 とまぁ、IGLのスタイルについて解説したけど、これがすべてのスタイルじゃなくて、チームや本人のプレイスタイルに合わせて理想のIGLのやり方は無限の選択肢があるんで、何度もトライや打ち合わせを重ねて、自分だけのIGLスタイルを是非見つけちゃって自分の名前を冠した〇〇型IGLなんてのができちゃったらいいよね

 nafanyとかarTみたいに

 

Cloud9 IGL nafany

FURIA IGL arT

 

 6.終わりに

 

 長々とつらつらと書き連ねたIGL解説はどうでした?

 少しは出来立てチームの役に立てればハッピーです

 IGLというポジションはチームの勝ち負けの責任を担うストレスのたまるポジションだけど、それゆえに勝った時の喜びはひとしお
 何かと敬遠されがちで、難しいイメージのあるIGL、でもキチンと自分の考えを味方に共有できれば、ある意味では一番簡単なポジションだったり

 だって自分のやりたいようにできるからね

 IGLやってると逆に他人のコールに合わせる側の時すっげえやりづらかったり......

 でもとりま食わず嫌いせずに一度やってみてはいかが?

 

 今回の解説はあくまでIGLの基礎であって、まだまだ語りつくせぬ様々なIGLについての知識があって、きっとこの解説の通りにトライしてみてもうまくいかないことが多々あり、壁にぶつかります

 間違いなくぶつかります

 そんな時は臆せず、先人に訪ねちゃってください

 少なくとも自分ならTwitterやDiscordで個別に聞いてくれれば、聞いてないことまで滔々と語ると思いますんで......

 

 さて!SamuraiCSさんのほうでは今回の記事より不定期になりますが連載として色々書いていこうと思ってるんで、暇な時のちょっとした読み物としてチェックしてくださいね

 次回はエントリーとラーカーについて解説しようかなと

 ではまた!

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