日本でCounterStrike2(以下CS2)のコミュニティ大会組織、HoneyCombSCUPの主催者、 Bucciと申します。
突然ですが皆さん、CS2のプロシーンって見てますか?
CS2のアンテナサイトをご覧になるような人なら多かれ少なかれご覧になってるとは思うのですが、正直見ているほとんどの方はその大会についてどんな大会か?まで考えて見てないと思います。
その理由としてやはりあげられるのはCS2のトーナメントシステムの難解さでしょう。
という訳で今回はそんなCS2のトーナメントシステムについてこちらでなるべく分かりやすくかつ詳細を詳しく解説していきたいと思います。
1.VRS(Valve Regional Standings) について
10月現在のグローバルランキング |
1. VRSを基にした出場枠であること
2. 賞金、またはそれに準ずるものがあること
3. 以上二つを最低満たした上でValveに申請し、許可されること
の3つが主な条件と言われています。
一つ目のVRSを基にした出場枠というのが肝で、過去の大会のように独自の基準やその時々の予選での出場枠というのは縮小される運びとなりました。
このシステムによって過去の大会のようにアマチュアチームや継続して大会に出場していないロースターがいきなりTierSの大会(大陸間規模かつ賞金が高額の大会)に出るのはとても難しくなり、大会はあくまでコミュニティの延長線にあるべきという保守的なファンやプロからの否定的な意見もよく見られます。
このシステムのメリットととして過密な日程による選手への負担軽減と大型大会の増加があります。Tier1と呼ばれるトップチームが予選を免除されることによりその分より多くの大型大会が開催されるようになりました。
現在開催されている大会のほとんどはこのVRSを基に出場チームが決められていますが、とはいえオープン予選が0になった訳ではなく、今月開催されたeXTREMESLANDのようにVRS関係なく参加できる大会も残っています。
2.Majorについて
CS2のデベロッパーであるValveが主催する唯一の大会で、開催に際して出場チームのプレイヤーのサインがデザインされたステッカーや勝敗の予想を当てることでゲーム内アイテムと交換できるMajorコインが販売されるのが特徴です。
またMajorに出場したチームは成績に応じてステッカーの収益の分配金を受け取れます(最低でも億単位のお金が...)
全32チームが出場できるMajorは2025年10月現在、出場条件はVRSのみ。オープン予選やCSGO黎明期のMajorにあったレジェンド枠などは無くなりました。
招待枠は地域ごとに設定されています。
stage3(本大会のstage1~2を免除されたシード枠)
・ヨーロッパのVRS上位5チーム
・南北アメリカのVRS上位2チーム
・アジアのVRS1位のチーム
計8チーム
stage1~2のノーシードの招待枠
・ヨーロッパから11チーム
・南北アメリカから8チーム
・アジアから5チーム
がそれぞれ招待されます。
前回、アメリカのオースティンで開催されたMajorでは各地域でオープン予選が開催されていましたが、次回ブダペストで開催されるMajorからは全てVRSでの出場枠となりました。
なので日本のチームが名誉あるMajorに出場するためには、まず各地域で行われているローカルレベルのVRS付与大会を勝ち上がる必要があります。
3. ESL BLAST PGL等 Stierオーガナイザーの大会
そんなStierトーナメントを主催している主な団体(★はValveからの委託の元Majorを主催することもある団体)
ESL(★):ESL Pro League やIEMを主催する団体で、CounterStrikeの歴史を語る上で欠かせない団体
その他には主にMajorを開催するStarLadderやサウジアラビアで開催されるEWC等、年に一度から数年に一度に開催する団体もいくつかあります。
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3-1. ESL
まずは私たちが普段プレイするFaceitの運営母体であり、Stierトーナメントだけではなく、プロへの登竜門と呼ばれるESEALeagueも主催しているESLからです。
全てのチームはまずOpen1よりESEALeagueに参加し、シーズン毎に上位チームが上のリーグに上がっていき、最終的にはESL Challenger Leagueという最上位リーグを目指します。
ESL Challenger Leagueはヨーロッパ、北アメリカ、南アメリカ、オセアニア、アジアの5地域で年に2シーズン行われ、各リーグの優勝チームがESL Pro Leagueへの出場権を得ます。
ESL Pro Leagueも24チーム中、17チームはVRSを基に招待されたチームなので、ChallengerLeagueと惜しくもChallengerLeagueで出場権を得れなかったチームのラストチャンスといえるDHknockoutにて勝ち上がることで出場権を得ること。それがVRSを獲得できていない中堅以下のチームにとっての希望となっている形です。
それでも他の団体と違って、ESL Pro Leagueではグローバルランキングではなく、地域ランキングを基にしての招待なので出場のしやすさは高いです。
ESLChallengerLeagueに出場するだけで立派なプロチームの証ともいえるし、逆に言えばChallengerLeagueに出場できないレベルでは地域を代表するプロとはいいがたい、そんな大会といっていいでしょう。
なのでOpenを勝ち上がって、ChallengerLeagueへの出場権をかけたCUPと呼ばれるプレーオフに出場し、見事優勝すればChallengerLeagueに、さらにそこで勝ち抜けばESL Pro Leagueに出場できるという訳です。
3-2. BLAST
それぞれの大会に直接の相関関係はありませんが、この3つの大会で得られるBLAST Frequent Flyers(通称FFP)というBLAST独自のランキングポイントを基にBLAST Premeirシリーズの年間順位が決まり、追加での賞金を獲得します。
画像だけだとイメージしづらいのでそれぞれの大会について詳しく解説します。
Bounty
VRSによって招待された32チームによるオンライン予選ではじまり、最終8チームがオフラインでのプレーオフを行います。
Bountyでは下位シードチームが上位シードのチームから対戦したいチームを選ぶという独特の方式で、もし指名した下位チームが勝利した場合、相手のシード順位に応じた追加の賞金をもらえるというシステムが特徴の一つです。
高順位のチームほど高い賞金が賭けられているので勝てば一獲千金のチャンスになるので手堅く行くのかどうかの駆け引きが組み合わせの時点で始まるのが面白いですね。
Open
VRSによって招待された12チームに、各地域のBLAST Risingと呼ばれるオープン予選を勝ち抜いた4チームを加えた16チームで行います。
大会の特徴としては、16チームを二つに分け、8チームずつのダブルイリミネーショントーナメントによる予選ラウンドと最終4チームによるプレーオフラウンドで行うIEMなどと同じような昔ながらのトーナメント方式であることです
BLASTの大会で唯一のオープン参加枠がある大会で、今年の春にはVRSランキング60位の THE HUNSが出場を決め話題となりました
シンプルな8チームによるグループステージ→プレーオフの分かりやすい大会です。
世界上位8チームのみが招待されるとあってCS2のプロシーンでも最高レベルの試合が行われるのが特徴です。
そしてこのBLAST Premierシリーズと呼ばれる一連の大会では、年間を通じて賞金総額がなんと約440万ドル(内FFP順位賞金200万ドル)という額が設けられています。
参加するチームにとっても魅力的な大会ですが、視聴者にとっても面白いのがBLASTの特徴です。
クイズ大会や、卓球、ちょっとしたミニコーナーが多くあり、試合以外のコンテンツも楽しむことができます。
大会シーンの観戦をこれから始めるなんて方には是非おすすめしたいですね。
現状アジアからでは年に二度開催されるオープン予選を突破し、BLAST Openへの出場権を賭けたBLAST Risingという大会で、たった一つの枠を勝ち取るしかありません。
いつかBLASTの大会でプレス機にかけられる日本チームのロゴを見れる日は来るのでしょうか......?
3-3. PGL
Majorでは長らくこれが採用されていて、Pickemと呼ばれるゲーム内アイテムのアップグレードとケースがもらえる勝敗予想が毎年話題を呼んでいます。
PGLではグループステージにてこちらの形式を採用しているため、見ている方も参加している方も疑似的なMajorを体験できるというのが特徴です。
本家Majorでは2勝または2敗するまではBo1で試合が進行しますが、これは大番狂わせが起きやすいということで保守的なファンや選手からは一定の批判を受けています。
ですがPGLでは最初から全ての試合がBo3で行われるため一部ではPGLのようにMajorを開催するべきという意見もあります。
PGLの大会でも主な出場枠はグローバルVRSによって決められていますが、年に一度アジアも含めた4地域から1チームずつオープン予選から出場できる枠があります。
日本のチームが出場するには年に一度のこの枠を勝ち取る必要があり、VRSでの出場はグローバルランキングが参照されている現状ではほぼ不可能といっていいでしょう。
是非期待したいですね。
3-4. その他の大きな大会
まずは2023年からサウジアラビアが国をあげて開催しているEsports World Cup 通称EWC
Lift that trophy to the skies! You've made a whole nation proud! @1mongolz 🏆 pic.twitter.com/FynUjuAY1z
— Esports World Cup (@EWC_EN) August 24, 2025
EWCも他の例に漏れずVRSのグローバルランキングを参照に出場枠が決まっています。
アジアに1枠のみオープン予選からの出場枠がありますが、このオープン予選自体が中国以外の国からの参加はVRSの地域ランキングからの招待となるので現状日本からでは予選に出場することすら難しい状態です。
SF6などの格闘ゲームで盛り上がりを見せているだけに是非CS2でも日本の話題になるといいなと思います。
他にもFISSUREやBetBoomなどの団体がStierといえるレベルの大会を開催していますが、こちらは全てVRSグローバルランキングによる招待制となっています。
ただ他の大型大会の隙間を縫うように開催されるため、他に比べてややランキングの低いチームでも出場することがあるのでVRSポイントさえ獲得できればあるいは......?
4.地域別の大会
ただESLのリーグと違うのは、Stierトーナメントの出場枠が基本VRSグローバルランキングによる招待制となったため、地域別の大会で結果を残してもそのまますんなりと世界に出れる訳ではないという所でしょうか。
アジアを対象にした大会で最も大規模な大会は、先日の予選の記憶も新しいeXTREMESLANDです。
アジア各国でのオープン予選で代表を決めて、最後オフラインでNo1を決めるその大会形式は古き良きCounterStrikeの大会の雰囲気そのままで、本選の出場枠にVRSを使用していない貴重な大会です。🏆eXTREMESLAND 2025 日本予選が閉幕し、Ravensが優勝!上海で行われる本戦への出場権を獲得しました
— BestFive_CS2 (@BestFiveCS) October 19, 2025
準決勝では、DEBU.CTEAMがmegamegaを下し、いち早く決勝へ進出。
続いて、RavensがNGMを撃破し、DEBU.CTEAMとの決勝対決が実現しました。… pic.twitter.com/MIPlaTsEHJ
その他には BestFiveや5EPlay等の中国の対戦プラットフォームから日本からも参加できる大会が開催されています。
2025年 BestFive Elite CUP
2024年 Asian Super League(Jadaiteが招待) M88(オープン大会)
モンゴルやCIS地域を対象に大会を開催しているMESAという団体の大会でも年に一度はアジア予選が開催されたりと、日本から参加できる大会は一定の数が保たれています。
一方、世界で最もCounterStrikeが盛んな地域であるヨーロッパでは大小様々な大会が数えきれないくらいに開催されています。
主たるヨーロッパの主催はCCTという組織です。
🚨 CCT Season 3 is HERE!
— Champion of Champions Tour CS2 (@CCT_CS) April 25, 2025
40 events across 4 regions 🌍
20 in EU
10 in South America
4 in North America
4 in Oceania
➕2 NEW EU Tier 3 events
💰$1.28M prize pool | VRS-integrated ✅
The season kicks off April 30 with EU Series 1!
More info: https://t.co/ETNwg4njp9 https://t.co/sIIIhYO5wj pic.twitter.com/3BKi7dHWpk
国別にまで細分化すると、やはり人口が多く、CounterStrikeの人気も高い中国やブラジル、近頃ではインドでSky EsportsというRYZENのサポートによって運営されている新興オーガナイザーが活発的にインド国内から東南アジア地域を対象にした大会を多く開催しており、盛り上がりを見せています
5. CSの女性部門の大会
CS2ではMajorのようなデベロッパーであるValveが直接主催する女性部門の大会は存在しておらず、そのためかあまり盛り上がっている印象は受けません。
This is it. The final week of #ESLImpact S8 is HERE.
— ESL Impact (@ESLImpact) October 21, 2025
Check out the full schedule for Friday and Saturday where we'll see who else makes it to Stockholm ❄️ pic.twitter.com/OZd2Jvc7Z2
他にもAthena EsportsやFamaleProLeagueという団体が継続的な活動を行っていますが、賞金やLAN会場など問題が山積しています。
現状のCS2シーンでは女性のみの大会はESL Impactの終了と共に無くなってしまい、1つのCS2のチームとして様々な大会に挑んでいかなければなりませんが、残念ながら現状では女性部門はヨーロッパやアメリカのESEALeagueでは4部前後にとどまっており、とてもStierトーナメントに出場できる可能性は低いです。
新たな女性部門のための大会が待たれますね。
6.最後に
よかったらそんなコミュニティで頑張る彼らを応援してやってください
今回各国のローカルな大会や文化などの説明は冗長になるので省きましたが、もしそれも知りたいという方がいましたら筆者の私まで直接尋ねて下されば何でも答えます!
ではまた次の記事でお会いしましょう......












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