CS2トーナメントシステム解説! Major? IEM? BLAST? これを見れば明日から解説者に!?

2025年11月16日日曜日

CSを知る メジャー

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はじめましての人がもしいましたらはじめまして
知ってるって方はこんにちわ、こんばんは、もしかしたらおはようございます。

日本でCounterStrike2(以下CS2)のコミュニティ大会組織、HoneyCombSCUPの主催者、 Bucciと申します。

 
突然ですが皆さん、CS2のプロシーンって見てますか?
CS2のアンテナサイトをご覧になるような人なら多かれ少なかれご覧になってるとは思うのですが、正直見ているほとんどの方はその大会についてどんな大会か?まで考えて見てないと思います。

その理由としてやはりあげられるのはCS2のトーナメントシステムの難解さでしょう。

という訳で今回はそんなCS2のトーナメントシステムについてこちらでなるべく分かりやすくかつ詳細を詳しく解説していきたいと思います。


1.VRS(Valve Regional Standings) について

まず現行のCS2のトーナメントシステムにおいて最も重要で、最もよく分からんと言われるVRS(Valve Regional Standings)について解説します。 

VRSとは大会の成績に応じて与えられるポイントを基にしたランキングで、ヨーロッパ アジア 南北アメリカの地域ランキングとグローバルランキングの2種類に分けて使用されています。

10月現在のグローバルランキング

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
VRSの順位を上げるためにはVRSポイントがもらえる大会に出場する必要があります。
このVRSポイント、詳細は公開されていませんが、付与される大会の基準が決まっており

1. VRSを基にした出場枠であること
2. 賞金、またはそれに準ずるものがあること
3. 以上二つを最低満たした上でValveに申請し、許可されること

の3つが主な条件と言われています。

一つ目のVRSを基にした出場枠というのが肝で、過去の大会のように独自の基準やその時々の予選での出場枠というのは縮小される運びとなりました。

このシステムによって過去の大会のようにアマチュアチームや継続して大会に出場していないロースターがいきなりTierSの大会(大陸間規模かつ賞金が高額の大会)に出るのはとても難しくなり、大会はあくまでコミュニティの延長線にあるべきという保守的なファンやプロからの否定的な意見もよく見られます。

このシステムのメリットととして過密な日程による選手への負担軽減と大型大会の増加があります。Tier1と呼ばれるトップチームが予選を免除されることによりその分より多くの大型大会が開催されるようになりました。

現在開催されている大会のほとんどはこのVRSを基に出場チームが決められていますが、とはいえオープン予選が0になった訳ではなく、今月開催されたeXTREMESLANDのようにVRS関係なく参加できる大会も残っています。

2.Majorについて

MajorはCS2の大会において唯一の「公式」に開かれる大会です。

CS2のデベロッパーであるValveが主催する唯一の大会で、開催に際して出場チームのプレイヤーのサインがデザインされたステッカーや勝敗の予想を当てることでゲーム内アイテムと交換できるMajorコインが販売されるのが特徴です。

またMajorに出場したチームは成績に応じてステッカーの収益の分配金を受け取れます(最低でも億単位のお金が...)


 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 



そんな世界中すべてのチームが出場を目指すMajorにはどうすれば出場できるのか?
それが先ほど説明したVRSです。

全32チームが出場できるMajorは2025年10月現在、出場条件はVRSのみ。オープン予選やCSGO黎明期のMajorにあったレジェンド枠などは無くなりました。

招待枠は地域ごとに設定されています。
 
stage3(本大会のstage1~2を免除されたシード枠)

・ヨーロッパのVRS上位5チーム 
・南北アメリカのVRS上位2チーム
・アジアのVRS1位のチーム 
 計8チーム
stage1~2のノーシードの招待枠

・ヨーロッパから11チーム
・南北アメリカから8チーム
・アジアから5チーム
 
がそれぞれ招待されます。

招待枠はVRSの地域ランキングから、シードの枠数を決めるのはVRSグローバルランキングからとなっており、かつてはアジアはstage3の招待枠がありませんでしたが、MongolZがその活躍によってグローバルランキングでも上位に位置しているのでアジアのシード順が一つずつ繰り上がっています。


前回、アメリカのオースティンで開催されたMajorでは各地域でオープン予選が開催されていましたが、次回ブダペストで開催されるMajorからは全てVRSでの出場枠となりました。

なので日本のチームが名誉あるMajorに出場するためには、まず各地域で行われているローカルレベルのVRS付与大会を勝ち上がる必要があります。

3. ESL BLAST PGL等 Stierオーガナイザーの大会

次は、俗にStierと呼ばれる大会を主催する主な団体についての大会を解説します。
Stierといわれる大会は大陸間規模かつ賞金が高額なLANトーナメントを指して呼ばれています。

各大陸の代表チームが集うだけあって会場の規模や配信、キャスターのクオリティも高く、世界大会といっても差し支えないレベルにあります。

そんなStierトーナメントを主催している主な団体(★はValveからの委託の元Majorを主催することもある団体)


 
ESL(★):ESL Pro League やIEMを主催する団体で、CounterStrikeの歴史を語る上で欠かせない団体


BLAST(★):BLAST Rivals等 毎年新しいフォーマットかつ、賞金の高い大会を開催


PGL(★):ルーマニアの団体、かつてはMajorの予選を担当していたが、近年はMajor以外にも独自のSTier大会を開催している




その他には主にMajorを開催するStarLadderやサウジアラビアで開催されるEWC等、年に一度から数年に一度に開催する団体もいくつかあります。


  











3-1. ESL

さて、ここからはその主な団体について更に詳しく解説します。
まずは私たちが普段プレイするFaceitの運営母体であり、Stierトーナメントだけではなく、プロへの登竜門と呼ばれるESEALeagueも主催しているESLからです。

ESEALeagueとは年に4回の予選と、2回のオフライン予選を経て、年に2度開催されるStierトーナメントのESL Pro Leagueへの出場を目指すリーグ形式の大会です。



地域のパッケージ規模によって階層が別れており、ヨーロッパやアメリカでは誰でも参加できるOpen1からAdvancedまで7つのリーグがあります。(JリーグのJ1やJ2みたいなものだと思ってください)
 

全てのチームはまずOpen1よりESEALeagueに参加し、シーズン毎に上位チームが上のリーグに上がっていき、最終的にはESL Challenger Leagueという最上位リーグを目指します。

ESL Challenger Leagueはヨーロッパ、北アメリカ、南アメリカ、オセアニア、アジアの5地域で年に2シーズン行われ、各リーグの優勝チームがESL Pro Leagueへの出場権を得ます。

ESL Pro Leagueも24チーム中、17チームはVRSを基に招待されたチームなので、ChallengerLeagueと惜しくもChallengerLeagueで出場権を得れなかったチームのラストチャンスといえるDHknockoutにて勝ち上がることで出場権を得ること。それがVRSを獲得できていない中堅以下のチームにとっての希望となっている形です。

それでも他の団体と違って、ESL Pro Leagueではグローバルランキングではなく、地域ランキングを基にしての招待なので出場のしやすさは高いです。



とはいえ、ESLChallengerLeagueに出場できるだけでもその地域を代表するチームといっていいでしょう。実際、ESLChallengerLeagueにアマチュアチームが出場している例はCS2がリリースされてからはありません。

ESLChallengerLeagueに出場するだけで立派なプロチームの証ともいえるし、逆に言えばChallengerLeagueに出場できないレベルでは地域を代表するプロとはいいがたい、そんな大会といっていいでしょう。

私たち日本のアジアは他の地域よりも規模が小さく、OpenとChallengerLeagueの二つのみです。

なのでOpenを勝ち上がって、ChallengerLeagueへの出場権をかけたCUPと呼ばれるプレーオフに出場し、見事優勝すればChallengerLeagueに、さらにそこで勝ち抜けばESL Pro Leagueに出場できるという訳です。

もちろん狭き門ですが、日本からはRavens megamega BoomBoomBee P-Motherなど挑戦しているチームもあるので是非応援していきましょう。

3-2. BLAST

BLASTは2018年よりCounterStrikeに参入してきた比較的新しい団体です。
BLASTの主催する大会の特徴はその賞金の高さとクイズ大会等視聴者体験型のコーナーやその大会独特のシステムです。

年に二度、ヨーロッパ、アメリカ、オセアニア、アジアの各地域から1チームのみのオープン予選からの出場以外は全てグローバルVRSを基にした出場枠で、Bounty→Open→Rivalsの流れを春と秋に開催します。
それぞれの大会に直接の相関関係はありませんが、この3つの大会で得られるBLAST Frequent Flyers(通称FFP)というBLAST独自のランキングポイントを基にBLAST Premeirシリーズの年間順位が決まり、追加での賞金を獲得します。

画像だけだとイメージしづらいのでそれぞれの大会について詳しく解説します。

Bounty

VRSによって招待された32チームによるオンライン予選ではじまり、最終8チームがオフラインでのプレーオフを行います。

Bountyでは下位シードチームが上位シードのチームから対戦したいチームを選ぶという独特の方式で、もし指名した下位チームが勝利した場合、相手のシード順位に応じた追加の賞金をもらえるというシステムが特徴の一つです。
高順位のチームほど高い賞金が賭けられているので勝てば一獲千金のチャンスになるので手堅く行くのかどうかの駆け引きが組み合わせの時点で始まるのが面白いですね。

Open

VRSによって招待された12チームに、各地域のBLAST Risingと呼ばれるオープン予選を勝ち抜いた4チームを加えた16チームで行います。

大会の特徴としては、16チームを二つに分け、8チームずつのダブルイリミネーショントーナメントによる予選ラウンドと最終4チームによるプレーオフラウンドで行うIEMなどと同じような昔ながらのトーナメント方式であることです


BLASTの大会で唯一のオープン参加枠がある大会で、今年の春にはVRSランキング60位の THE HUNSが出場を決め話題となりました

Rivals

VRSによって招待された8チームによるシーズンの節目となる大会です。
シンプルな8チームによるグループステージ→プレーオフの分かりやすい大会です。

世界上位8チームのみが招待されるとあってCS2のプロシーンでも最高レベルの試合が行われるのが特徴です。
 



そしてこのBLAST Premierシリーズと呼ばれる一連の大会では、年間を通じて賞金総額がなんと約440万ドル(内FFP順位賞金200万ドル)という額が設けられています。

参加するチームにとっても魅力的な大会ですが、視聴者にとっても面白いのがBLASTの特徴です。

クイズ大会や、卓球、ちょっとしたミニコーナーが多くあり、試合以外のコンテンツも楽しむことができます。
大会シーンの観戦をこれから始めるなんて方には是非おすすめしたいですね。



現状アジアからでは年に二度開催されるオープン予選を突破し、BLAST Openへの出場権を賭けたBLAST Risingという大会で、たった一つの枠を勝ち取るしかありません。

いつかBLASTの大会でプレス機にかけられる日本チームのロゴを見れる日は来るのでしょうか......?

3-3. PGL

PGLはルーマニアのEsportsオーガナイザーで、CSGO時代は主にMajorの開催を任されていました。
CS2がリリースされてからは積極的な活動を始め、資金調達にも成功した甲斐あってPGL独自主催の世界大会を開くようになりました。


PGLの大会の特徴はMajorと同じトリプルエリミネーションを採用している点です。
トリプルエリミネーションとは、3勝、または3敗するまでスイスドロー(勝ち負けが同じチーム同士で対戦する)を繰り返す形式です。
Majorでは長らくこれが採用されていて、Pickemと呼ばれるゲーム内アイテムのアップグレードとケースがもらえる勝敗予想が毎年話題を呼んでいます。

PGLではグループステージにてこちらの形式を採用しているため、見ている方も参加している方も疑似的なMajorを体験できるというのが特徴です。

本家Majorでは2勝または2敗するまではBo1で試合が進行しますが、これは大番狂わせが起きやすいということで保守的なファンや選手からは一定の批判を受けています。
ですがPGLでは最初から全ての試合がBo3で行われるため一部ではPGLのようにMajorを開催するべきという意見もあります。

PGLの大会でも主な出場枠はグローバルVRSによって決められていますが、年に一度アジアも含めた4地域から1チームずつオープン予選から出場できる枠があります。
日本のチームが出場するには年に一度のこの枠を勝ち取る必要があり、VRSでの出場はグローバルランキングが参照されている現状ではほぼ不可能といっていいでしょう。

是非期待したいですね。

3-4. その他の大きな大会

こちらの3つの団体が現在年に複数回のStierトーナメントを開催している主な団体になりますが、年に一度のペースで開催している団体もありますので簡単にご紹介を。

まずは2023年からサウジアラビアが国をあげて開催しているEsports World Cup 通称EWC


賞金総額125万ドルの超ビッグイベントで、CS2以外にも数多くのタイトルが開催されているのでCS2を知らない方にも著名なイベントだと思います。

EWCも他の例に漏れずVRSのグローバルランキングを参照に出場枠が決まっています。

アジアに1枠のみオープン予選からの出場枠がありますが、このオープン予選自体が中国以外の国からの参加はVRSの地域ランキングからの招待となるので現状日本からでは予選に出場することすら難しい状態です。
SF6などの格闘ゲームで盛り上がりを見せているだけに是非CS2でも日本の話題になるといいなと思います。

他にもFISSUREやBetBoomなどの団体がStierといえるレベルの大会を開催していますが、こちらは全てVRSグローバルランキングによる招待制となっています。

ただ他の大型大会の隙間を縫うように開催されるため、他に比べてややランキングの低いチームでも出場することがあるのでVRSポイントさえ獲得できればあるいは......?

4.地域別の大会

さて、ここからは大陸間ではなく、もっとパッケージを狭めた、地域レベルの大会の話をしたいと思います。
最も身近な大会となる地域別の大会を主催している団体は多岐にわたります。
先述したESLの地域ごとのリーグもこの地域別の大会と捉えていいでしょう。

ただESLのリーグと違うのは、Stierトーナメントの出場枠が基本VRSグローバルランキングによる招待制となったため、地域別の大会で結果を残してもそのまますんなりと世界に出れる訳ではないという所でしょうか。

ではまず私たちの住むアジアの大会から紹介します。

アジアを対象にした大会で最も大規模な大会は、先日の予選の記憶も新しいeXTREMESLANDです。
アジア各国でのオープン予選で代表を決めて、最後オフラインでNo1を決めるその大会形式は古き良きCounterStrikeの大会の雰囲気そのままで、本選の出場枠にVRSを使用していない貴重な大会です。

その他には BestFiveや5EPlay等の中国の対戦プラットフォームから日本からも参加できる大会が開催されています。
 2025年 BestFive Elite CUP
 2024年 Asian Super League(Jadaiteが招待) M88(オープン大会)

モンゴルやCIS地域を対象に大会を開催しているMESAという団体の大会でも年に一度はアジア予選が開催されたりと、日本から参加できる大会は一定の数が保たれています。

一方、世界で最もCounterStrikeが盛んな地域であるヨーロッパでは大小様々な大会が数えきれないくらいに開催されています。

主たるヨーロッパの主催はCCTという組織です。
CCTseriesといわれ年間を通じて開催されるこちらの大会はヨーロッパのTier2シーンを支えているといっても過言ではなく、数々の名選手がこの大会で飛躍しました。

残念ながら他の地域でCCTのような規模と権威、そして情熱のある運営組織は無いといってもいいでしょう(中国国内では最近XSE Pro Leagueが誕生しており、それが唯一の候補?)

国別にまで細分化すると、やはり人口が多く、CounterStrikeの人気も高い中国やブラジル、近頃ではインドでSky EsportsというRYZENのサポートによって運営されている新興オーガナイザーが活発的にインド国内から東南アジア地域を対象にした大会を多く開催しており、盛り上がりを見せています
 
日本ではコミュニティレベルの大会がほとんどなのでこれに追随できるよう努力していきたいですね。

5. CSの女性部門の大会

さて、最後にCS2における女性部門の大会シーンについても簡単に説明をば。
 
CS2ではMajorのようなデベロッパーであるValveが直接主催する女性部門の大会は存在しておらず、そのためかあまり盛り上がっている印象は受けません。

それでも年に二度開催される女性部門世界一を決める ESL Impactの存在もあり、FURIAやNAVIなど各大手Esportsチームが女性部門を持っています。

5月に開催されたESL Impact Season7では決勝戦の視聴者が10万人を超えたことが大きなニュースになりました。

ですがそのESL Impactが現在開催されているSeason8を持って一時終了となることが発表され、女性部門の大会シーンに激震が走っています。

先ほど紹介したCCT等のプロチームによるリーグに参加している大手の女性部門はともかく、ESL Impactしか出場枠を持っていないチームにとっては死活問題となり、今後の動向が注視されています。

他にもAthena EsportsやFamaleProLeagueという団体が継続的な活動を行っていますが、賞金やLAN会場など問題が山積しています。

現状のCS2シーンでは女性のみの大会はESL Impactの終了と共に無くなってしまい、1つのCS2のチームとして様々な大会に挑んでいかなければなりませんが、残念ながら現状では女性部門はヨーロッパやアメリカのESEALeagueでは4部前後にとどまっており、とてもStierトーナメントに出場できる可能性は低いです。

CSGO黎明期より続く女子プロゲーマーの歴史は果たしてどうなってしまうのか......?

新たな女性部門のための大会が待たれますね。

6.最後に

さてここまで長々とニッチなお話に付き合ってくださり感謝です。
CounterStrikeの大会シーンは20年以上の歴史を誇り、海外では親から子へその素晴らしさが受け継がれ、一つのスポーツ観戦文化として強く根付いています。

残念ながら日本ではまだまだそこまでは至ってはいませんが、それでも未来、Majorの舞台で翻る日本国旗を夢見て、先達から受け継いだ日本CounterStrikeシーンというバトンを持って今走る人達がいます。

よかったらそんなコミュニティで頑張る彼らを応援してやってください

今回各国のローカルな大会や文化などの説明は冗長になるので省きましたが、もしそれも知りたいという方がいましたら筆者の私まで直接尋ねて下されば何でも答えます!

 ではまた次の記事でお会いしましょう......



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